2/26学んだこと

九州大学 耳鼻科 澤津橋先生のご講演を拝聴しました。
私自身もヒノキの花粉症を持っており、もうすぐ喜ぶべき春なのに上気道に不快を感じつつ過ごさねばならない季節となります。
スポンサーはサノフィでディレグラという抗アレルギー薬が押されていました。
花粉症の治療には、花粉が飛ぶ前から始める初期療法、花粉が飛び出してからの鼻閉+全充型治療、免疫療法の3軸があり
初期療法 くしゃみ+鼻漏には第2世代抗ヒスタミン薬(以下:抗HT2) 鼻閉にはロイコトリエン拮抗薬(以下:抗LT) 高感受性症状には抗HT2効果重視型または抗HT2+抗LT
花粉飛散後の鼻閉には初期から抗HT2+抗LT、またはディレグラ(=アレグラ+プソイドエフェドリン
抗HT2は効果の強さを重視するのか、眠気の副作用を避けることを優先するのかの2系統で考える
 効果重視:アレロックジルテック
 眠気軽減:アレグラ、タリオン クラリチン
アレグラにプソイドエフェドリンを加えることで効果を強化したのがディレグラ
ジルテック異性体をそろえ、副作用を軽減したのがザイザル
プソイドエフェドリンエフェドリンも生薬マオウに含まれる交感神経作動性抗炎症作用あるが、循環器への影響少ないのがプソイドエフェドリン
市販の感冒薬、抗アレルギー薬にはほとんどプソイドエフェドリンが加えてあるが、処方薬ではディレグラが初。
内服後30分で効果発現(抗LT薬は効果出るまでに1週間) 有効率80% 副作用は口渇不眠動悸2週間以内に発現


免疫療法 治療終了後も効果が持続、他抗原への感作を防ぎ、喘息発作を防ぐ効果
 舌下免疫療法シダトレン アナフィラキシーが起こらないが、効果発現のためには2年から3年の継続投与が必要であり、継続できる人が少ない。
 経口免疫療法 スギ花粉タンパク+ガラクトマンナン複合体 IgEと結合せずアナフィラキシーはない。腸管内で多量の抗原>regulatory Tcell動員>アレルギー抑制 2か月間の継続で効果あり 現在第3相試験中

好酸球副鼻腔炎
 成人発症の粘性鼻漏、嗅覚消失など。成人発症の喘息、NSAIDsによる喘息、好酸球の浸潤した鼻茸、末梢血好酸球増加

印象に残ったのは、花粉症の免疫療法で、プラセボ舌下投与で8%の方が完解を得る、というデータです。つまり、花粉症は偽薬で一定率治る、という事実があります。

DM-CKD

今夜は、糖尿病性腎症についての講演を聞いた。
・DM腎症と腎硬化症は臨床的に区別できない
・DM腎症で腎生検を考慮するのは、網膜症が無いもの。
・IDDMではCKDの進行遅いARB効かない
・NIDDM:インスリンは腎尿細管Naチャネルに作用し塩分貯留増加
ARBは減塩下でなければ(蛋白尿減少の)効果がない
・従ってサイアザイド、長時間ループ利尿薬の出番がある。
・利尿薬は、高インスリン状態が予想される肥満例で効果高い
・塩分摂取の目安は、NaよりもClで。110は高食塩、Cl<105を目指す
・体液貯留の目安:BUN/Cr低下、Hb低下、Tp.Alb低下、T-chol,HDL-cholの低下
・GFRの低下>高インスリン低血糖
・予後から見るDM-CKD目標HbA1c=7.0%
・DPP4Iがfirst choice
・Steno2試験:それぞれの管理は悪くても、血圧、血糖、脂質、まとめて管理することで予後改善

お客様は神様ではありません

お客様は神様ではない。
客も、店員も対等な人間同士。
同じように感情があり、自尊心があり、大切な人がいる。
みんな実際にはわかっていることだと思う。


市場経済至上の価値観が、この当然の前提を歪めてしまい、
現在さまざまな問題が起こっている。


モンスターペイシェント、ペアレント、クレイマー
自分の権利意識ばかり高く、他人を自分と同等の存在と認めることができず、
他人に横暴なふるまいを平気でする人たちが増えて社会の問題となっている。


需要と供給があり、そのモノが、サービスが必要で店を訪れるのが客であり、
その必要とされるものを提供することで対価としての代金を頂くのが、店であり、店員である。
お互い、対等に、必要であるから接触し、やり取りをする。
それは対等な人間同士のコミュニケーションであるべきだ。


どちらかが一方的に優位に立つようなものではない。
この基本に、すべての人が、一度立ち還る必要があるのではないか。

高尿酸血症について

昨夜は尿酸についての教育講演会を聞いた。尿酸についてまとまった話を聞く機会があまりないので、貴重な機会だった。
基礎研究で、サザンブロットで濃く染まった程度のことで、
有意と言ってしまってよいのか、
こうである可能性がある、レベルと、こうである、との境界があいまいな内容が多かった、という印象。

以下、学んだこと。
・高尿酸治療のガイドライン
UA>7.0からが高UAと診断。まずは生活指導。
UA>8.0+合併症で治療開始。
UA<6.0を目指す。
・高UAは腎での排泄低下か産生増加=筋でのヒポキサンチン(ATPの代謝物)増加
・尿中UA/尿中Cre<0.5なら排泄低下→ベンズブロマロン(ユリノーム)
・尿中UA/尿中Cre>0.5なら産生増加→キサンチンオキシダーゼ阻害薬(フェブリク、ザイロリック


・高血圧に高尿酸血症を合併することが多いのは。
・高血圧>腎虚血>腎内乳酸↑>URAT1により乳酸とUAが交換輸送でUA再吸収↑
インスリン抵抗性>Na+有機酸が吸収>交換輸送でUA再吸収↑
・高UAでの降圧は、ニューロタンもしくはCaブロッカーで。
・利尿薬、βブロッカー、他のARBではUA上昇
・夜間高血圧は食塩感受性であり、サイアザイド(フルイトラン)が有効>しかしUAは上がる。


・高UAの血管内皮機能障害性
・高UA>NOが減る
・キサンチン酸化酵素(XO)活性が夜間早朝に上がる>早朝の血管内皮機能低下(%FMD)

・高UAが心房細動の誘因?
UAが心房筋のカリウムチャネル発現数を増やす>心房不応期の短縮>リエントリーの成立
・ユリノームで心房筋のURAT1が阻害され、Afは予防できそうであるが、ユリノームとワーファリンは併用危険(CYP2C9の競合)


・低UA<0.8=URAT1先天性欠損症もリスク
UAはXOの作る活性酸素を消去している
・低UAでは血管内皮機能が障害される
・URAT1先天性欠損症では無酸素運動時、UAが大量産生>大量排泄>急性腎不全となる。


無酸素運動ではUA前駆物質のキサンチン、ヒポキサンチンが産生される>高UA
・実際、自衛隊員、剣道、テニス、野球選手、相撲取りなどに痛風は多い。

・食事指導:牛肉・豚肉・エビ・カニUA+0.2^0.3  牛乳・ヨーグルト・チーズ>UA-0.2^0.3

無酸素運動の代表レジスタンストレーニングをやっているものとしては尿酸に気を付けないと。
しかし、高値が悪いのはわかるにしても、活性酸素を除去するために必要だったり、尿酸はどうもややこしい。一臨床家としては、ガイドラインに粛々と従うのみ。