高尿酸血症について

昨夜は尿酸についての教育講演会を聞いた。尿酸についてまとまった話を聞く機会があまりないので、貴重な機会だった。
基礎研究で、サザンブロットで濃く染まった程度のことで、
有意と言ってしまってよいのか、
こうである可能性がある、レベルと、こうである、との境界があいまいな内容が多かった、という印象。

以下、学んだこと。
・高尿酸治療のガイドライン
UA>7.0からが高UAと診断。まずは生活指導。
UA>8.0+合併症で治療開始。
UA<6.0を目指す。
・高UAは腎での排泄低下か産生増加=筋でのヒポキサンチン(ATPの代謝物)増加
・尿中UA/尿中Cre<0.5なら排泄低下→ベンズブロマロン(ユリノーム)
・尿中UA/尿中Cre>0.5なら産生増加→キサンチンオキシダーゼ阻害薬(フェブリク、ザイロリック


・高血圧に高尿酸血症を合併することが多いのは。
・高血圧>腎虚血>腎内乳酸↑>URAT1により乳酸とUAが交換輸送でUA再吸収↑
インスリン抵抗性>Na+有機酸が吸収>交換輸送でUA再吸収↑
・高UAでの降圧は、ニューロタンもしくはCaブロッカーで。
・利尿薬、βブロッカー、他のARBではUA上昇
・夜間高血圧は食塩感受性であり、サイアザイド(フルイトラン)が有効>しかしUAは上がる。


・高UAの血管内皮機能障害性
・高UA>NOが減る
・キサンチン酸化酵素(XO)活性が夜間早朝に上がる>早朝の血管内皮機能低下(%FMD)

・高UAが心房細動の誘因?
UAが心房筋のカリウムチャネル発現数を増やす>心房不応期の短縮>リエントリーの成立
・ユリノームで心房筋のURAT1が阻害され、Afは予防できそうであるが、ユリノームとワーファリンは併用危険(CYP2C9の競合)


・低UA<0.8=URAT1先天性欠損症もリスク
UAはXOの作る活性酸素を消去している
・低UAでは血管内皮機能が障害される
・URAT1先天性欠損症では無酸素運動時、UAが大量産生>大量排泄>急性腎不全となる。


無酸素運動ではUA前駆物質のキサンチン、ヒポキサンチンが産生される>高UA
・実際、自衛隊員、剣道、テニス、野球選手、相撲取りなどに痛風は多い。

・食事指導:牛肉・豚肉・エビ・カニUA+0.2^0.3  牛乳・ヨーグルト・チーズ>UA-0.2^0.3

無酸素運動の代表レジスタンストレーニングをやっているものとしては尿酸に気を付けないと。
しかし、高値が悪いのはわかるにしても、活性酸素を除去するために必要だったり、尿酸はどうもややこしい。一臨床家としては、ガイドラインに粛々と従うのみ。