高血圧とアジルバの話

もう、めんどうなのでFBにアップした記事をそのままコピペする。
こうでもしていかないとブログの維持はできない。



今夜は、川崎医科大学腎内の柏原直樹先生の講演を拝聴しました。
武田製薬がスポンサーなのでアジルバの利点が強調されるのは仕方ないですが、それ以外にも、
・腎糸球体とは毛細血管ではなく、「むき出しの動脈である」という表現。
アルブミン尿とは腎障害の指標ではなく、全身strain vesselsの障害のサインである。
・人間の重要臓器、脳の穿通枝、冠動脈、膵ラ氏島、糸球体には共通の動脈構造がある>これをstrain vesselsという。

・高血圧、特に血圧の変動によりこれらの血管は障害され、そのかなり末期の像として、蛋白尿、糖尿病が発症する。
・予後に相関するのは、自宅血圧、診察時血圧、日内平均血圧、夜間血圧変動の中で、夜間血圧変動が最も強くリスクとなる。
・予後が悪い順に、riser>extreme dipper>non dipperとなる。
・なぜ、肥満度はアメリカやイギリスの方が高いのに、相対的に痩せている日本人の糖尿病の発症率が高いのか>ドイツも高い>第2次世界大戦敗戦国の急速な経済成長という共通点。
・母体は胎盤を介して、胎児の重要臓器を出生後の外界環境に合わせて最適化する能力を持つ。メチル化?妊婦にブドウを食べさせる?
・つまり、日本人に糖尿病が多いのはいまだに戦後の記憶を身体が引きずっているからである。

この終わりのあたりの言説はほかでも聞いたことがあります。確かにもっともらしげな説ではありますね。
柏原先生は、ラットの蛍光電子顕微鏡画像により、少しの内圧差で糸球体から蛋白がかなり漏れていく様子などを動画で示され、その説得力は非常に大きかったのですが、あくまで基礎実験であり、その病態生理はあくまで仮説であり、臨床的な効果がそれだけで実証されたわけではない、という批判的な視点が必要と感じました。
まあ、それだけアジルバは有用そう、というイメージが全面的に打ち出されてました。

疑問点は二つ。
・夜間血圧変動を抑えることが重要であることはよく分かったが、日常臨床において、A-lineなど留置できるはずもなく、夜間血圧変動の測定、さらに治療効果はどうやって判定するのか?
・夜間血圧変動を抑えることが重要なら、降圧薬の投与は眠前とすべきではないか?extreme dipperではどうか?