complain1

問題の患者はDMの加療のために内科に入院中であった。神経因性膀胱によると思われる排尿障害と陰萎を主訴に約1ヶ月前に私の外来を受診した。排尿障害に対してα1ブロッカーを処方し、排尿障害は多少改善したが、もともとあった起立性低血圧が悪化し、立って歩けないような状態になったと言う。もともと存在した症状であること、降圧剤の内服をしていたことなどから、内科の主治医はそちらの調整から対応していたが、症状は続き、2-3週間経過して主治医が当科より処方されていたα1ブロッカーの投与を中止したところ、症状が明らかに改善した。これをもって患者本人は当科処方のα1ブロッカーの副作用で1ヶ月近くも「死ぬほど苦しい思いをした」と訴え、それを材料として当科、当院への言いがかりをいろいろつけて退院を延期しようとしている、ということらしい。
昨日はその患者が、私の外来を避け、別の外来主治医に変えて排尿障害への加療を希望して受診したが、たまたまその連絡が看護士レベルでうまくいかず、忌引き中のDr.の代診をしていた私の外来に再び来る羽目となった。
彼は「1ヶ月近くも苦しい思いをした」ことが私の処方によるものであったことの不満と、そのことへの私の迅速な謝罪がなかったことへの怒りの発言をし、持続する排尿障害に対して、α1ブロッカー以外の内服を提案するが、「そんなものは怖くて飲めない」、という。そのような感情的な対応をされては治療はできない旨説明すると、「これだけひどい目にあって感情的になるのは当然だ」と激昂する。あげくは、外来診療の妨げとなるのでこの場はお引取り願おうとした外来看護士に恫喝恐喝めいた発言を繰り返し、「院長を呼べ!」と怒鳴り散らす始末であった。
尿勢減弱の改善を望む患者の希望に対応して、きわめて妥当なα1ブロッカーの投薬をしたのであり、起立性低血圧などは受容体の選択性からほとんど生じないはずの合併症であって、私の治療には何も問題はない。発見が遅れたことについては患者にもともとDMによる起立性低血圧が存在したこと、ほかに降圧薬を内服していたことなどから致し方ないことである。
事実として内服をやめて症状が改善したからという形で、私の投薬がその症状の原因であったことが分ったのであって、あらかじめ予想できるような因果関係では到底なかった。
また謝罪が遅れた、との指摘ついては、そのような不満を私にその患者が面と向かって表明したのは昨日の外来が初めてのことであり、そこまで苦しい思いをした、ということは私には分かりようのないことである。
私の立場としては、私の行った診療には落ち度とされるべき物はなく、謝罪の必要さえもわからないが、私の投薬によって不愉快な思いをした、という事実に対して私は謝罪をした。排尿障害への加療を希望し、私の処方では怖くて飲めないというなら、ほかの泌尿器科医師を受診していただくしかない。
外来診療の妨害をされ、こちらもかなりの不愉快な思いをさせられたことについては、これ以上このような態度で受診されるなら診療拒否をするしかないと考える。