医療ミスについて

肝癌治療の医療ミスについての報道があったが、どこからが人為的な「ミス」であり、どこまでが偶発的な「事故」なのかは何で決まるのであろうか。悪意を持って患者さんに不利益となるような医療行為を為そうとする医師など誰もいない。意に反して、悪しき結果となった場合、それがミスであるか事故であるかは、「当然為すべきであったことをしていたかどうか、当然してはならないことをしてしまったのかどうか」で決まると思う。
つまり、スタンダードが何かということを把握して、それを逸脱しないように医療行為を行う必要があると言うことだ。報道されていた肝癌の治療のケースについて言えば、その医療施設で初めての治療法であるならば、それが始めての治療であることをもちろん患者に説明するべきであったし、当然治療経験の豊富な医師を招聘して、少なくともその指導の下に治療を導入すべきであったのに、それをしていなかったと言う点で、医療ミスであろう。
しかし、スタンダードが確立されていない、新しい治療法と言うものは、比較的臨床の場にたくさんある。そのような場合にも、医療が契約行為である以上は、患者への説明と同意の上に治療が行われるべきと言うスタンダードだけは省かれてはならないのだと思う。