脳梗塞予防の抗血小板療法と抗凝固療法

本日は埼玉医科大学の棚橋紀夫先生の表題に関する講義を拝聴した。
脳卒中は4割が脳出血、6割が脳梗塞
脳梗塞には:ラクナ梗塞、アテローム梗塞、心原性梗塞とある。
・リスク計算にはABCD2スコアがあり、4点以上でハイリスク。
・1次予防は高血圧、DM、脂質、喫煙を管理する。
脳梗塞発症3時間以内ならtPA、エダラポンなど。
・2次予防は心原性以外は抗血小板療法で。
・抗血小板療法にはアスピリン、プラビックス、プレタールとある。
アスピリン、プレタールは効果同等で20%の予防効果。
・プラビックスは30%の効果で出血も少ない。
ラクナ梗塞には微小出血も多く、アスピリンは推奨できない。
・大血管狭窄症例の血小板凝集抑制にはプラビックスが優位。
・プレタールは血管拡張作用があり、出血はない。ただ、頭痛、頻脈などが起こる。
・プラビックス+プレタール併用で、血小板機能は確実に抑制される。ただし長期の抗血小板療法は基本は単剤で。
・心房細動では、左心耳での血流鬱滞>凝固系の活性化が起こるため、抗凝固療法が必要。
・抗凝固療法にはワーファリン、プラザキサ、イグザルトとあり、PTINR測定が必要なのはワーファリンのみ。
・ワーファリンは、納豆、青汁が食べられず、PTINR測定はめんどくさいが、逆に効果を最も安全にモニターできる。
・プラザキサ、イグザルトは腎機能による制限あり、eGFR<30では禁忌。
・AfではCHADS2スコアを計り、2点以上では抗凝固療法を。
一番、聞きたかった透析患者+心房細動でのワーファリンの使い方。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19713308
というエビデンスを受けて、日本透析医学会が作成した「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」では「心房細動における安易なワルファリン治療は行わないことが望ましい」とされていることをどう受け取るか、という問題については、
結局心房細動では抗凝固療法をする、という大前提が優先される、ただしPTINRは1.6程度とゆるめに管理する、ということであった。