死はどこにでも訪れる

歩調は合わないながらも、同じような志向を持っていたため、ともに仕事をするようになった同僚。
その同僚に突然の死が訪れた。まだ20代後半の若すぎる死。
飲み会の度に深酒をし、その業務にもかかわらず外見はお世辞にも節制できているとは言い難い体型で、
酔ってもあまり面白くない発言を繰り返す、いわゆる空気の読めない、という人物だった。
しかし、その愛想の悪い普段の表情からはメッセージとしては伺えなかったが、彼は自分の好きなことをただ一生懸命やろうとしていた。
亡くなって初めて、彼が好きなことを一生懸命やっていたことに気づく。それをもう少し正面から捉えてあげることはできなかっただろうか?
いや、出来なかっただろう。こんなに早く彼に死が訪れると分かっていたらできたかもしれないが、昨日まではそうではなかったのだから。

人間には想像力がある。たとえ今は魅力を感じることのできない隣人であっても、彼がもし明日亡くなったとしたらどう感じるだろうか、と想像してみることも必要かもしれない。