CKD-PD update

本日は広島大学腎内の正木教授の講演を拝聴した。
以下今日の学んだことを列挙。
要約としては「CKDの加療、進展予防ではとにかく減塩・降圧が重要。CKDから透析導入への明確な基準は無く、これから設定されるべきだが、自尿の維持が重要なため、PD-first、EPS予防のため5年でHDに。」という内容だった。
・IDEAL studyの導入時期が早い方が予後が悪いという結果は溢水での導入を誤解した誤った結論。
・溢水でCreが希釈された状態での誤った腎機能評価がよくおこなわれる。
・Na↓、Cl↑は溢水の指標でCl↑は代謝性アシドーシスを意味する。
・日本人の平均食塩摂取量は10.7g/dayは世界各国の中でもかなりワーストに近い。
・高齢で食塩感受性が上がる>減塩必要
・NT-ProBNP>6000ではHD導入後のCVD入院率が高い。
動脈硬化>虚血に弱いのは糸球体より先に尿細管>さらに尿細管の障害がクレアチニンに比例する。
・DM腎症とされる大部分は実は腎硬化症。
・1型DMでのARBによる尿蛋白減少効果は否定された。
・腎硬化症とDM腎症の見極め方は、ARBで尿蛋白が減るかどうか。減らないならDM腎症。
・DM腎症での尿蛋白抑制には抗酸化剤のバルゾロ酸メチル?が海外で有効性証明。日本で使える薬ならスタチン、フェブリク、クレメジンなどで。
・降圧薬はARB>CaB(T型コニール、カルブロック、N型アテレック)。
・利尿薬はサイアザイド+ループ。
・HDでの降圧目標は透析開始時で140/90。
・HD患者での降圧薬投与は眠前短時間作用薬の投与が推奨される(アダラート、ディオバン)
・腎動脈周囲交感神経のアグレーションによる降圧効果10~20%>降圧薬5剤を3剤程度まで減らせる。
・HD患者で予後が悪いのは高血圧よりも低血圧。
・LDLC<120、non-HDLC<130,脂質は透析後採血で測定するべき。
・残腎機能が生命予後に重要>PD-first,ARBの使用、Wet気味の管理。
・PD Kt/V>1.7
・自尿の無いPDがHDへの移行を<B2MGがPDでは除去不能
・同じ理由でPD+HDならばHDはハイフラックス膜を。
・EPSの予防としてはPD歴で管理するしかない。<Pre-EPSを評価する指標が無い。
・PD5年、8年(6%)と長期PDほどリスクが上がる。
・EPS予防として腹腔洗浄の効果は無い。
ARBが予防?<線維化にATIIが関与。
・Stem cell 腹腔内投与がEPSを予防するか実験中。