寺澤先生講演

こんな地方の勉強会の講師として来ていただくには高名すぎる方であるように感じるのだが、福井医科大学救急の寺澤秀一先生が隣町で講演されたので聞きに行く。
相変わらずのエンターテナーっぷりだったわけだが、やはりサテライトで見る場合より、生なので臨場感があり、面白かった。
その面白さがどこからくるのか、帰り道考えてみた。
・ピットフォールを集めて解説していること:誰もが陥る罠と、その危険性を説明する。騙される、ということの中には一つの興味深さが存在する。これを解説することで聴衆の興味を集められる。そこから抽出できる「教訓」の印象が深まる。
・物まねを多用すること:臨床現場の看護師さん、同僚、上級医などの物まねを積極的にすることで事例に臨場感が出る。さらに「あるある」と共感させる物まねと揶揄性によって、笑いが生まれる。
この二つの要素により、講演の面白さが高められている、と分析してみた。
今日の講演でのtake home messageは以下のようなもの。
救急関連。
・腸管穿孔のFree airは立位の「胸部」写真で見る。
・男性の手の甲の裂傷はfight biteの可能性がある>難治
・猫に噛まれると危険。
・左下腹部痛で泌尿器科医も見逃すtorsionの症例がある
・過換気ならSpO2は99%以上あるはず。SpO2=96%の​過換気はあり得ない。
・問診ではどうしてそのインシデントが起こったかを、患者「本人​」に聞く。
ほかに、頭蓋内病変では血圧は上がるはず、とかそういうものは今までのファイザーのサテライトセミナーで何度も聴いてきたこと。
地域医療再生関連。
・救急で患者を受けるには総合病院のベッドの空きがいる>入院と​なった患者の出口として>中規模病院のベッドの空き>さらにその​出口としての在宅で看取る総合医の必要性。
・現在の24時間365日単独主治医制では医師の疲弊を招き、担​い手がいなくなる>チーム主治医制、交代主治医制の確立が必要>​>学生を受け入れ、大事にする医療機関からスタートする。


地域医療の再生もそうだが、地域の再生にこそ私の関心はある。本当に東京で暮らすことだけが、日本人の目指すべき幸せの形なのか、地域で生きていくことの幸福の創生にどういった道のりが描けるか、そういうことを寺澤先生に聞いてみたかった。が、夜間透析に戻らないといけないので懇親会には参加しなかった。