模写の意味

模写という作業に独創性は無い。基本的には表現技術の習得ということを最大の目的として行われる行為であり、そこに創作の要素はないとされる。
しかし、徐々に絵に厚みが増してくるのを日々眺めながら、ここには単に技術習得以上の何かがある、と感じていた。オリジナルの作品を眺め、その描写、描画の意図を読み取る、というのも時代を越えたコミュニケーションとしての面白さがあるが、その意図を把握した上で、自分ならこうしたい、こう言いたい、という表現が出てくる。それをちょっと実行してみて、ああ、やはりオリジナルの作品の方が上手くやっている、ここまでやってはだめなんだ、と学ぶこともある。そうした一つ一つのやり取りと、自分自身の加工の効果を、絵から少しはなれて確認する。これは、単に模倣以上の面白い作業なのだ。
時々読んでいるサイトに、ピレネーの城の壁画を描きながら、ずっと考えていたことへのヒントがあった。
http://www.1101.com/essay/2011-11-09.html
実際、模写した後に、記憶だけでその絵を描いてみる、というのはすごいアイディアだと思う。
表現方法を知った上で、自分の中にあったものが、テーマを与えられて出せるようになる。
この番組を実際に見てみたかった。



ピレネーの城とは何なのか。