職員のプロ意識育成のための設問

ある総合病院職員が以下のような行動をとりました。彼らの行動は正しいでしょうか。問題があるとしたらどこでしょうか。
1.外科勤務医師A氏:大腸癌多発肝転移の患者Bさんが、低栄養状態となっているため、保険適応は無いと知りながら、元気をつけてあげるためにアルブミン製剤の輸液をした。結果として、浮腫が改善し、血圧も上がり、Bさんは元気になったように見え、家族も希望するため週3回のアルブミン輸液を継続した。
2.内科勤務医師D氏:血液透析患者のEさんに貧血の症状があり、検査でも重度の貧血を認めたため、造血ホルモン剤であるエリスロポイエチンの注射を週4500単位から週9000単位に増量した。鉄剤も増量し、2週間後貧血がある程度回復したため、さらに週12000単位に増量した。さらに2週間後の検査でヘモグロビンが目標値となったため、エリスロポイエチン維持量を週12000単位とした。
3.外来看護師F氏:糖尿病で通院中の患者Gさんに、以前右前腕の擦過傷で張った外来使用絆創膏での治りが良かったので、「あれをもっとください」、と言われたので、処置室にあった絆創膏を5枚ほど譲ってあげた。

上記の職員の問題点は、いずれも「持ち出し」という点にある。もちろん患者さんには喜ばれるだろうが、自分が働いている病院には損害を与えているわけである。厳しく言うなら窃盗であり、やっていることは「ねずみ小僧」と同じ、本当に善意からこのようなことがしたいなら、A氏、D氏、F氏はそれぞれ自分の給与からこれらの薬剤、材料費を病院に補填した上で、このような行動をすべきなのである。
ところがこのような窃盗行為は、意識的にというよりは無意識的に割と気軽に行われているのが実情だ。これは明らかな背信行為であり、組織のオーナーならいざ知らず、組織から給与を貰っている人間なら厳しく罰せられるべき行為である。