近藤誠氏と鈴木亮氏

上記のワクチン問題についてネットで調べているうちに、近藤誠氏のインタビューや、それに関係した、一人の胃癌患者の手記を読むにいたった。
近藤誠氏は、売名のためにセンセーショナルな発言を繰り返しているような人かという先入観を持っていたが、患者本位の医療が行われていくのを願う、善良な、今も臨床で働く放射線科医師だということがわかった。しかし、自分の臨床的な印象を我田引水的なエビデンスを引っ張ってきて補強している、という印象は否めず、公平に見て、氏の言うことはもっともな部分ももちろんあるけれど、鵜呑みにできない、と言わざるを得ない。

「治療をしなくても良い癌」については臨床的に問題とならない潜在癌(その癌は死因につながらず、別の病因で死ぬことになる)、Occult cancerについて言っているのだと思う。これは確かに前立腺癌でも問題になっていて、治さなくてもよい癌を発見することで、無駄な治療をしているのではないか、だからPSA検診は止めるべきだ、というような論調が泌尿器科領域においても存在する。しかし、これもリスクとベネフィットの問題で、PSAがそれほど侵襲も無く、費用もかからず癌を検出でき、さらに病理検査やPSA倍加速度などによって前立腺癌の悪性度を診断できるのだから、本当に治療の必要な癌を見つけるために、PSA検診は有用だと、私は考えている。

さらに早期胃癌を発見されて、近藤誠氏の説などで無治療を選び、癌の進行によってお亡くなりになった方の手記を以下で読んだ。
http://home.att.ne.jp/wave/natsu/ryo/igan.html
結果から見れば、発見された時点で手術を選んでおけばよかったのではないか、という話になるが、鈴木氏は自分で諸説をよく検討したうえで、自分の治療法を自分で選んだ。納得の上の結果であるから、後出しじゃんけんで、近藤氏の説に惑わされた、となどというべきではない、とは思う。ここで批判されている医学界の諸問題については、お偉い方々は特に耳を傾けるべきではないか、と思う。