地域連携貢献加算

民主党に代わって初めて、診療報酬の改定があった。
今回、病院の窮状を改善する、という錦の旗の下、病院の再診料を80円引き上げ、開業医の再診料を20円引き下げる、という改定が行われた。そして、さらに病院の救急を軽症患者が受診して救急が過密業務となっていることの改善を目的として、開業医が365日24時間携帯電話にてかかりつけ患者の救急対応をする体制にすれば、再診料が30円アップする、地域連携貢献加算なる加算点数が制定された。
一人でやっている開業医を受診する患者数は多くても1日50人程度と見積もれば、30円x50人で一日当たり1500円。
つまり365日24時間の救急待機電話番をすることで一日1500円貰える、という話になる。そんな365日24時間の待機業務というとてつもない拘束状態に対して日給1500円とは、バカにしとるんか、とお怒りの同業者が多いわけだが、実際には携帯電話に留守番電話を設定して、救急施設の電話番号紹介、自分が聞けるときに留守電を聞いて、必要な対応があればする、というくらいの対応でよければ、ずっとその携帯を所持しなければいけないわけでもなく、そんな厳格に対応しなくてもよいのでは、というのが自分の立場だ。
もちろん、留守電対応では困る、ちゃんと所持している携帯で対応しろ、という厳格な規定を厚生省が求めてくるなら、そんなただ働きに等しいような馬鹿らしい加算点はいらないので、やらないだけのことである。
レセプトオンライン化にしてもそうだが、なんでも厚生省は診療報酬を餌にして、医療をある方向に導いておいて、ある程度行き渡るとその診療報酬を無しにして、登らせた梯子を外すようなことをする。登った場所の維持経費はその後もずっと発生し続けるのに診療報酬だけが削られるのである。
今回の明細書無料発行義務化にしても、なんというかもうちょっと実地の医療の現場にそのような方策を導入するとどうなるのか確認するような過程を経てから導入すれば、長期的に有効な方策かどうかわかりそうなものなのに、思いつきのような場あたり的な方策で診療報酬改定が動いて行くところが、日本の医療政策のだめなことろと言うように思われる。