アボルブについて

たまには泌尿器科専門医らしい話題を、、、、
日本大学高橋教授によるアボルブについての講演を聞いた。噂によると高橋教授は天皇陛下の主治医らしい。
アボルブを作っている製薬会社がスポンサーだから、アボルブに悪い話が出るはずがないのは道理としても、それにしてもアボルブの利点ばかりの話だった。
・男性OABについて。
男性のOABではα1ブロッカーが抗コリン剤に併用されることが多いが、小さいBPHでは抗コリン剤単剤で十分という話。
・薬剤の効果持続性について
α1ブロッカーではどうしても数年で効果がプラトーになり、その後はBPHの増悪とともに症状も悪化していく。
しかしDutasterideを併用すれば、IPSSスコアはずっと減少していく。
つまりMale LUTSをPSA=1.5 PV=30のラインで4つに区分し
・OABのみ:抗コリン剤
・OAB+BOO:α1ブロッカー+抗コリン剤
・smallBPH:α1ブロッカー
・largeBPH:α1ブロッカー+5αRI
という治療方針がスタンダードとなるだろう、という話。
・PC relating problem
ロスタールという同系統の薬は、このPC maskingが最も問題となって使われなかったわけだが、アボルブは逆にPCの検出率を高め、かつ、High grade PCを増やさない、というデータがあるらしい。Doubling ruleでスクリーニングはOK,投与中のPSA増加で却って不要な生検を減らせる、コントロールと比して、アボルブは23%PCの発生を減らす、それどころか、早期の癌をアボルブが治療している可能性もある、というような点はもっともとして、そうして投与中に見つかったPCは当然Hormone refluctoryなPCであろうと思うのだが、その辺はそうでもないらしい。ここはちょっと眉つばかな、と思う。
・男性機能への影響
前立腺内での特異的な5αRI(1型、2型両方ブロックする点が重要らしい、Feristarideは2型のみ)によって、男性機能への影響は少ない、とはいっても精液量の減少は起こる、前立腺腺上皮を抑制し、間質の抑制は少ない、髪の毛生える、というくらいの話題。

もともと高齢者のlatent cancerがPSAのせいで見つかって、医療費が跳ね上がる問題を、防ぎたいという意識から、アボルブ投与には積極的だったが、こうしてエビデンスを得れば、ますます使いやすい。