malignant person

昨日の新幹線でのこと。
指定席車両で帰っていたのだが、二つ前の席に白人のカップルが座っていた。外人らしく人前でもいちゃついており、郷に入りては郷に従えよ、とも思っていたのだが、どうやら指定席と知らずに座っていたようで、途中からのってきた中年男性に席を追われた。
その男性が二人を追い払う仕方が、とても横暴で、指で席を指さして無言で手を払うようにして席を立たせた。もちろんその席は指定席券のある男性に座る権利があり、英語が喋れず、コミニュケーションを諦めていたのだろうが、人間としてそのやり方は問題あるだろうと思われた。追われた白人二人も、感じ悪い、というような表情を浮かべながら隣の車両に去って行った。
ことはそれだけで終わらなかった。どうやら白人の女性の方が、頭にかけていたサングラスを紛失したらしい。元座っていたその指定席にあるかと考えて、何度もそこまで戻ってくる。車掌を通じてその席を見てもらったりもして、新幹線が数駅通過する間ずっとそのようなことを繰り返していた。物を大事にするのだなあ、とも思ったが、他に思い出したことがある。
その中年男性は、席に着いたあと、二回ほど、何かを捨てに車両の外に移動していた。私はその時、その男性が手に持っているものに注目していなかったが、あれが、席に忘れられていたサングラスだった可能性はないだろうか、と思い当った。その外人女性はかなりしつこくその指定席を探そうとしていたし、それでも見つからなかった。中年男性は捜索に少しも協力的ではなく、寝たままその席を動こうとしなかった。あれだけ周りで騒いでいるのだから、席を立ってみせるくらいのことをしそうなものだが、全く非協力的だった。
この中年男性がこの新幹線で取った行動に、何の犯罪性も無く、彼は法律的には責められる点は無いかもしれない。しかし、なんであんなに他人に対して嫌な態度がとれるのだろう。仕事や生活がうまくいっていないなど、何か鬱憤がたまっているのか。特に外国人の旅行者に対して、日本人の美徳を取り繕う必要はないとは思うが、普通の人間同士として、困っている人がいたら少しは手を差し伸べるような姿勢は自然にとれるものではないだろうか。
ここで私がそのサングラスを捨てに行く場面を目撃していたなら、恐らく私はその場に介入したと思うけれど、確たる証拠はなく、傍観することしかできなかった。