Thornmancer

日照時間が短いということが妻にとっては負担のようだ。
よその土地からここへ嫁にきた主婦たちにとっては共通の話題らしく、特に雪雲がたれこめるこの季節には、精神に変調を来し、鬱状態となる。それが、日が差さないせいだ、ということらしい。
そんな事を言うならここで生まれ育った私は常に鬱か言われれば別にそういうことはない。
日が差さない日々でもどうやって楽しむかということをいつも考えて育ってきたし、十分に楽しむすべはある。
希少なその日照をその希少さゆえに、精一杯に楽しめる。
「待っても春など来るもんか。見捨てて歩き出すのが慣わしさ」