食欲増進剤

一般外来では、「食欲が無いのでなんとかしてほしい」という訴えがよくある。
食欲不振の原因の多くは胃腸の不具合であるから、胃炎、胃潰瘍、下痢、便秘などの状態を診断して、それぞれの消化器の不具合を改善するための薬剤を投与することになる。
しかし、これらの状態が除外されても食欲が出ない、というような場合、どうするのか。私の考えでは、食欲は体が食物を欲していないということであるから、体調が良くなれば自然に回復する。悪性腫瘍や消化器疾患が除外されたならば、あとは運動してしっかり睡眠をとれば食欲は戻ってくるはずで、食べたくないなら食べなければよい、と思う。
それでも肝硬変などで、食欲不振>低栄養>溢水傾向>腸管浮腫>食欲不振というような悪いサイクルに入っている場合、投与するとしたら六君子湯という漢方薬がある。例によって漢方なので機序は不明であり、西洋科学に基づいた仕事をしている身としてはいささか使うのに抵抗があるのが漢方だが、この六君子湯は効果があるらしい。まあ、甘草が入っており、副作用として肝機能障害があるので慎重な投与が必要となるが、、、