たった1枚の紙切れ

がメールボックスに入っていたが、このことの価値が分かる人が院内にどれくらいいるだろうか。
身体障害者福祉法第15条第1項による指定医認定。腎臓機能障害における指定医だ。
私がこれを申請したのは今年の8月1日。
すでに4ヶ月を経過した今になって、指定医として認定したという書類が届いた。なんと役所の仕事の遅いこと。
この認定があると、私は、患者さんが末期腎不全となったときに、腎臓機能障害による、身体障害者第1級の認定をすることができるようになるのである。
透析治療には一回23000円の費用がかかる。週三回透析でその他の薬剤費、材料費を含めると一月当たり35万程度の費用がかかることになる。国保により本人負担が3割とすると、月々10万程度費用を患者さんは負担しなければならない。
ところが、身体障害者1級の認定が降りると、患者さんのこの負担は月々1万円だけに軽減される。また、その他、駐車禁止区域への駐車が許可されたり、様々な公共交通機関が低額で利用できたり、身体障害者としての特典がある。
たった1枚の紙切れで、私はこの認定ができるようになったのである。

もちろんこの申請には、7年以上の臨床経験、該当領域での業務実績、関連領域での発表、論文執筆などの業績証明、専門医証明など、複数の証明書を提出させられ、このように数ヶ月審査のために待たされた上で、ようやく指定医として認定されるのだ。
これにより、現在の非常勤の腎臓内科医が、外来で、当院で透析導入しても、身体障害の認定ができないから、という理由で他院に導入患者を回していた事態の、その口上は通らなくなる。

まあ私が当院に勤務するのもあと半年であるが。

ひっそりとメールボックスに入っていたこの紙切れ。この紙切れが持つ意味は、本当は非常に大きいのである。