倫理とは何か

永井均著。M先生と猫のアイジンヒトによる倫理についての哲学書
ついさっき読了した。病院においたまま、暇なときに読んだので、飛び飛びにしか話がつながっていないが、大体は面白く読んだつもりである。
私がなぜ倫理に興味があるかといえば、倫理とか道徳は私に対して、「善く生きる」ことを要求してくるからである。そして私は上から強制力を持って何か行動を強いられるのが非常に嫌いである。従って、倫理や道徳の必然性や、「善さ」を納得できるのか、自分の中に内在化できるのか、それとも一切そんなことをする必要はないのか、それを知りたいと思うからである。
結論としては、世界の中に存在する自分、と考えるか、自分の中に存在する世界(独我論)と考えるかという違いで、道徳というものは世界の中に存在する自分にとって必要なもので、独我論の自分にとっては利用すべき道具の一つに過ぎない。それらは相容れないけれども、一人の個人の中にどちらも成立している立場である。
最後のアイジンヒトの台詞「自分の本当の疑問は何であるか、それを抉り出すように努めて欲しい」という台詞に、いつもながら、そうしたいものだと納得する。
私が本当に知りたいことは何なのか?「良く生きる」ことがどういうことか知りたい。自分が何を求めて生きているのか了解したい。現状、健康、経済、趣味、それぞれにそこそこ満足のいく生活を送っている。けれど、こんなはずではない、今送っているような、こんな毎日が送りたかったわけではない。常にそう感じている。かといって、信じられるような宗教が欲しいわけでもない。自分はいったい何を求めているのか。