医療訴訟の問題点と不運の感情

http://d.hatena.ne.jp/zaw/20060329
http://d.hatena.ne.jp/kabalah/20041108参照
病気になるというのはそもそも不運なことだ。
因果関係が明らかな、原因のある場合もあるだろうが、そういうめぐり合わせにあってしまったこと事態は、不幸な偶然によりそうなってしまった、と最後は言うしかない。
医療事故にしてもそうである。人為である以上、ミスがないことはありえないし、あらゆる診療行為にはリスクが伴う。どんなに事前にそのリスクについて説明を受けていても、そのリスクが、たまたま不幸なことに自分の身に災難として降りかかってきたら、人は誰もその不運を呪うだろう。
これは「不運の感情」である。事故であっても自然災害であってもどんな不幸であっても生じうる感情である。しかし、そこに直接その事態と関係する医療者がいる場合、不運の責任はどうしてもその医療者に転嫁されてしまう。もちろん、明らかに医療者に過失がある場合、その医療者は生じた不幸に対して責任を取り、謝罪と賠償と再発防止策をとらねばならない。けれども、医療においては、誰も故意に不幸を発生させようと意図しない以上、過失ではなく、事故とせざるを得ないような事態が多いのである。
にも関わらず、医療者は訴えられる。これは「不運の感情」によるものと考える。医療事故における「不運の感情」対策がきちんとなされなければ、医療者にとって理不尽な訴訟や、リスクを伴う診療を誰も行わなくなるという保身医療へ向かう傾向がいつまでたってもなくならないであろう。