device

バイスというのは、手術や処置で使う道具のことである。
当科では部長とNo.2が立て続けに新たな人に代わった。それまで別の病院で働いていた人たちだから、同じ処置をやるにしても当院の今までのやり方ではなく、別のやり方に慣れており、道具も別のものを使っていたのだ。だから、処置がうまくいかないと、どうしても以前使っていた道具に戻りたいと言う気持ちになる。「こんな道具でよくやってたな、こっちの道具の方が断然使い勝手がいいよ」と新たな道具への交換が行われる。
私のように5年もこの病院にいるものからすれば、いままでずっとそのやり方で、それほどトラブルもなく、うまくやってきた。それはやりやすくなるならそれに越したことは無いけれども、その処置がうまくいかないのは本当に道具のせいなのか。疑問に思うこともある。けれども、この病院で今後主体になって働いていただかなければならないお二人なので、お二人が働きやすいように変えていただくほうがいいと私も思う。
業者は新たな道具が売れると当然利益になるため、様々な宣伝とサンプルの持参をしてくる。そのデバイスの説明に、旧体制派である私もつき合わされるのだが、私としては何も言うことはない。私はここの病院のやり方しか知らない以上比較のしようもない。意見を求められても困るのである。これまでの道具があれば私は十分これまでの業務をこなしていける。新規のデバイスを導入するなら、それは使ってみないと都合が良いか悪いかは分からない。上二人がその道具が必要なら、私の意見など求めず、それにしたらいい、と私は思う。やり方さえ教えてもらえるなら、私も何とかその道具になれてやっていくことにすると思う。
最近通常業務が終わってから、そのような業者との折衝に付き合わされることが多く、閉口している。私がいてもムダだと思うのだが。