21.2.2005.

石関係の仕事がつづく。先週退院した巨大腎結石の破砕症例は、stone streetが中部尿管に大量に渋滞して、流れていかない。尿管カテーテルが一部尿道に脱出し、その一調整にもかなりてこずった。さらにその後ESWL二件。このまま部長回診に繋がっていきそうな業務の流れ。
昼前より、透析導入期重症例の透析中に、ショック、SpO2の低下を認め、急変として対処。症例は家族性多発性のう胞疾患であり、腎不全の原疾患も多発性嚢胞腎。のう胞に置き換えられ、大きく腫大した肝臓と腎臓により腹部は異常に膨満しており、臍ヘルニア、右ソケイヘルニアも合併。ソケイよりのIVHアクセスは困難と判断し、鎖骨下静脈にダブルルーメンを留置し、いままでは透析を施行してきた。先週より、透析中に重度の低血圧を認め、収縮期は触診で60mmHgまで低下したため、透析を中断していた。本日の透析前でCre=9.58、BUN=160で脳症の症状を認めるため、今日はなんとしても透析施行したかった。けれども、透析開始して1時間で、前回と同様に、血圧触知不能、SpO2も80台と急変した。循環器内科Dr.呼んで、心エコーしてもらうが、腹部内圧の上昇で心臓が縦郭後方上方に圧排され、心エコー不能。結局、腹部腫大によりIVCが圧排され、下半身溢水、上半身脱水の状態であり、鎖骨下静脈からの透析により、容易に心臓内脱水、静脈還流減少による心不全を生じていると判断した。
これに対しての解決法として、左大腿静脈になんとかダブルルーメン留置し、ここから脱血して、透析の後、鎖骨下静脈に返血する、という形をとった。つまりIVCの代わりに、下半身の静脈血を上半身に、体外循環によりバイパスしてやるという方法である。これにより、静脈還流は維持でき、なんとか透析を続行することができた。原理的にはなかなか良い対処ができたと考えているが、ダブルルーメンの透析で維持期に持っていくわけにはいかないこと、また、多発性のう胞により、心や肺が圧排されて、機能障害が着ていることより、多発性のう胞の治療法がない以上、悪性疾患はないものの、ターミナル状態と判断し、家族にその旨を説明した。急変時のDNRとするか否かについての家族の意思の決定をお願いした。