DM経口剤整理

JA広島総合病院の石田和史先生の御講演を拝聴しました。
DPP4阻害剤が席巻し、何がファーストラインかわかりにくくなってきた経口血糖降下剤の整理をわかりやすく行っていただいたのでよかったです。

まず、糖尿病を3つの軸で分ける。
インスリン:分泌低下なのか、抵抗性なのか:これを簡単に見極める方法はない。HOMA-rなどあるが、血糖値が高いと有用ではない。
肥満のあるなし、さらに内臓脂肪型か皮下脂肪型か。:内臓脂肪型ではインスリン抵抗性が高い。
空腹時血糖値が高いのか、食後高血糖なのか。:空腹時高血糖は基礎分泌不足、もしくはグルカゴン高値、食後高血糖は日本人に多い、インスリン分泌の時間的遅れ。

糖尿病治療薬を3系統に分ける。来年さらにもう1系統新しい機序の薬が出る。
抵抗性改善:ビグアナイドとチアゾリジン:ビグアナイドは肝臓での糖新生を抑制し、空腹時血糖を下げる。チアゾリジンは筋細胞での糖の取り込みを促進する。
食後高血糖改善:αGIとグリニド:αGIは血糖値上昇を緩やかにする。グリニドは日本人の食後インスリン分泌遅延を補う。
基礎分泌改善:SU剤とDPP4I:SU剤は基礎分泌を維持するが、低血糖に注意、DPP4Iは高血糖に合わせてインスリン分泌、グルカゴン抑制という双方向からの血糖抑制と、低血糖予防。

なんでもかんでも最初からDPP4Iを行くのではなく、病態に合わせて、ビグアナイド、αGI、グリニドなどから使用していくべきだ、というお話でした。
・疑問点:聞けたものと聞けなかったもの。
脂肪肝の症例では糖新生を抑えるビグアナイドは使ってよいのか、という質問には、アミノ酸を使った糖新生において糖の代わりに乳酸を産生するという機序だからむしろ良い適応、と。
・SU剤は疲弊した膵臓β細胞にムチ打つ行為、との講演を以前聞いたのであまり使いたくない印象となっているが、薬価が安いという以外に、SU剤を使うべき場面があるのか。

メモ書きしたノートを忘れて来たので、覚えているのはこれくらいです。