霊魂は存在するか?

昨夜、通夜に職員たちと参加した。
遺族の悲しみを思い、本人の無念を思い、また死因を聞いて、これから身近な人たちにその予防と早期発見を徹底していくことが、このアクシデントから私が課せられた使命であると感じた。
それはそれとして、何人かの職員と車で現地に向かっていたのだが、帰り、車に乗り込んだ一人の職員が
「お葬式が落ち着かれたら、当院に残っている本人を連れ帰りに来てくださいね、とお母さんに頼みました。」と何気なく、当然のことのように私に話しかけた。
あまりに普通のこととして話されたので、一瞬何を言っているのかわからず、「ああ、そうですね」と相槌を打ったが、どうも腑に落ちず、「ええと、誰に誰を連れ帰ってもらうんですか?」と聞きかえしたら、「まだうちの病院に残っていらっしゃる、亡くなった本人を連れ帰ってもらうんです。」という返事。
亡くなった本人はもうこの世にはおらず、遺体は通夜が執り行われたこの場にある。私の認識ではそうなのだが、彼女の中では違うらしい。
亡くなった場所にしばらくは霊魂が留まる、という考えを当然の認識として振る舞われ、私としてはどう答えてよいかわからなかった。
これが日本の宗教だ。特にどの宗派を信じるとか、どの神様を信じるということはないけれど、人の魂、というものが身体的生物学的営みとはまた別に存在する、と多くの人が信じている。何を根拠に?私にはわからないが、こういう当然とされている認識から掘り下げていけば、日本人の死生観、その必然性についてもまた見えてくるのではないだろうか。