自己実現

どちらかと言えば雇う側なのだが、
http://www.1101.com/essay/
こういう記事を読んでいて、また「自己実現」について考えた。

人生の最終目標のように言われる「自己実現」。
この言葉にはっきりと意味を持たせて最初に何かを主張した人が、西田幾多郎だと思っている。
彼に言わせれば、自己実現とは次のような状態のことだ。
ピアノの演奏者が、はじめは演奏によってうまく自分の表現したいことを表現できないが、練習を重ね、どのように曲を構成し、どのように指を動かすか、などといった細部を意識しなくなるまで上達した際には、「入神の域」に達し、そこには自我と対象との区別はなく、ただ曲の演奏のみがあるような状況が生じる、というようなことを書いた。

ただ、日常的に「入神の域」なる状態を獲得することは難しい。むしろ自分の社会との適性とか、職業の選択の際に、この「自己実現」を意識することが多い現状を考えて、この現状に合わせてこれを自分なりに読み替えて着きた結果、こうなった。

自分のやりたいこと、できること、やるべきことの3つが一致すること。このような状態を自己実現と呼ぶのが適当ではないか。
やるべきことというのは、当然社会に要請されている、という意味だ。
儒教でいえば、「己の欲するところに従いて則を超えず」、となる。

現在自分のやっている仕事がこういう点でどうかと振り返れば、3点すべてにおいて、中途半端、というか十全にやりたいことをやっている感じはないし、十分自分のできるベストを尽くせている気もしないし、またやるべきという点でいえばまだまだできていないところが多い、と感じる。
特に医療というもの自体、やりたいことなのかどうかいつまでもはっきりせず、筋トレとか音楽とか農業など趣味の領域で自分のやりたいことを模索しているようなところが大きい。