容疑者Xの献身

福山雅春氏主演の人気推理ドラマ「ガリレオ」に啓発された東野圭吾氏というミステリー作家の原作をさらに「ガリレオ」で映画化した、という作品。
ネット上で評判良いので観てみた。
福山雅春氏がかっこいいのは相変わらずだが、完全に主役を食ってしまった名優、堤真一氏の演技が迫真で、引き込まれた。

推理物というのは、誰が犯人かなかなかわからない設定が多いが、この作品においては初めから堤真一氏が悪役で、天才同士の対決、というところに面白みがある。しかし、悪役の天才にありがちなことに偏執性を描いて、ストーカーっぽい悪役と思わせておいて、実はどんでん返しで本当にいい人。
悪役が悪役でないというか、単純な憎まれ役でなく、十分に視聴者が感情移入できる悪役の人格や動機において、正当性というか必然性がしっかりと作りこまれている作品は良作となる。

まあ、最後に堤真一氏が泣くのは頂けなかった、あそこはどんなに根幹の部分が崩れたという状態だとしてもやはり淡々と過ぎ去るのがキャラクターの一貫性の点で良かったのではないか、と思う。