少数の患者に対する丁寧な看護が理想?その為には自分の給料を削ってください。

MEの仕事を覚えるための早出三日目。家族が帰ってくるまでの1週間は継続する。
大体どんなものかは覚えた。トラブル時の対応などまだまだだが、そんな大した労働量ではないし、改善できるところはいろいろあるのではないか、と思えた。

当院のスタッフが大きく勘違いしている部分がある。
それは、医療における奉仕の精神は、経営者のみが実行する権限がある、という点について理解が無いことだ。
例えば、スタッフ一人あたりが診る患者数が多いほど、業務は大変だし、患者一人当たりにかけられる手間は減る。スタッフが減るので一人当たりの担当患者を増やし、準夜帯透析のスタッフ数を減らす、という方針を打ち出すと、こういうことを言うスタッフがいる。
「私は患者さん一人一人とちゃんとコミュニケーションを取りたいので、担当患者数がこれ以上増えるのは困ります。」
患者の立場や心に沿った理想的な看護を志しているように、本人は思っているのだろうが、ここに大きな勘違いがある。医業経営が成り立つためには、患者数が一定数以上増えないことにはお話にならない。患者数を増やすためにこそ、患者満足度の向上が必要なのであって、例えばたった一人の患者を複数の看護師が寄ってたかって看護、介護すれば、それは勿論、患者は満足だろうが、そんな一人の患者の医療費で、複数の看護師の人件費がまかなえる筈はなく、一人当たりの人件費を極端に減らさなければ立ち行かない。
つまり、「患者さんのために、一人一人の患者さんを丁寧に診るために、少数の患者さんしか診ません」という看護師は、それだけ自分の給料を削る覚悟でやってくれ、という話になるのである。
昔、こういうエントリーを書いた。http://d.hatena.ne.jp/kabalah/20060427#p3
ここでの、医師の行為が病院に対する背信行為であるのと同じ意味で、(自分の給料を下げてもらってもいいという覚悟を伴わずに)少数の患者しか見ない、とする看護師の方針は、病院に対する背信行為となるのである。