鴨川ホルモー

陰陽道を大学のサークル活動に融合させるという設定は面白く、楽しく読んだが、結局学生の恋愛関係が主軸に動いて行く青春小説で、四捨五入すると40にもなる自分にとっては、いささか青臭さがきつい。主人公の恥じ入るような必死な心境が、どうにも大げさで自意識過剰で見るに堪えない。さらに登場人物たちの個性も面白いがいささかステレオタイプすぎてリアリティを感じにくい。
まあ、娯楽小説として楽しめるし、FSXを使った映画化された作品も「鮫肌男と桃尻娘」のような娯楽作品としては十分期待できるのではないか、とは思う。だが、あまり深みのある話ではなく、購入してまで読む作品ではないかもしれない。
ただ、自分は正にこの小説の舞台となった京都で、小説に出てくるような地名の中で暮らしてきたので、リアルな情景を思い浮かべながら、同時にそこに郷愁も感じながら楽しめた部分は、この小説の楽しみを自分にとって数倍強めてくれた、とは言える。
懐かしくなって、だいぶ音信不通になっている友人にこちらから連絡してみたら、なんと普通に連絡が取れた。