ワンピースなど

・ワンピース:ワンピースの世界情勢に関わる大きな話が動いており、非常に盛り上がっている。いままでのルフィ一家の個人的な闘争ではなくて、世界と歴史が絡んだ大きな戦いが始まっており、ここにきてワンピースが1大叙事詩としての領域に突入しつつあり、ジャンプの発売を待ち切れず、水曜の午後に匿名掲示板に投下される、次週の早バレ原稿というのをついチェックしてしまう。それほど物語は佳境に差し掛かっているということだ。
・スピリッツの終了したいくつかのタイトル
ボーイズ・オン・ザ・ラン花沢健吾:先週くらいに終了。泥臭い青春もの、ということになるのだろうか、20代後半の特に才能もない男性が、うだつの上がらない毎日の中から、遅咲きの恋愛経験をきっかけに自分自身で歩む人生に取り組んでいく、というようなまとめになるだろうか、そんなにひどく面白いと思っていたわけではないが、時々は読んでいた。ところが、この話のラストは良かった。何のとりえもなく、惰性で生きていたような青年、田西が、最後は実際は血のつながりもない者であるのに、お互いにつながり合い、自分の守るべき「家族」と高らかに宣言できるまでに成長している。自分の意思で、責任ある大人として、自分にとって大切なものを選び、守っている。確かにこれでこの青年の私小説は完結したと納得して読者は物語の終わりを受け入れられる。最近のマンガはストーリーは壮大でもラストで納得がいかないことが多いが、この話のラストには十分得心が行った。
美味しんぼ』:料理マンガ。主人公山岡とその父雄山との対決が主軸で描かれており、かなり長期にわたって連載されたので、その最終話の和解場面はYahooニュースで取り上げられるほどであったが、私自身はその単調な人間描写が気に入らず、ほとんど読むことはなかった。料理の解説は確かに興味深く、実際おいしそうなメニューが紹介されているわけだが、自分には縁のなさそうな世界であった。ただ、終了してみるとちょっとさみしいような気もするのも確かである。
オメガトライブ』:種の進化や自然淘汰、ネオダーウィニズムなど、テーマとしては非常に深く面白いテーマを扱っているし、それを生存競争をかけた種同士の闘争とつなげたのは、少年誌の題材としては良かったとは思うけれど、種を俯瞰するテーマのマクロな視点と、闘争を行う個人の人間関係のミクロな視点との切り替えや、つなげ方がまったくうまく言っておらず、結局はよくある個人の勝った負けたの戦闘話に終始し、むしろマクロ的な視点が邪魔になったような中途半端な結果に終わった。それでもこの話は7年も連載されたらしく、7年前と言えば、といろいろ自分の昔の状況も思い出されて、そういう個人的な意味でスピリッツからこの漫画が終了して消えていくことも感慨深く思われる。