理想の医師像

私が医師として、世間的に言われているような意味での名医でありたい、とは思っていないことは何度もこのブログでは書いてきた。では、自分がこの職業に適性がなく、嫌々やっている仕事なのかと問われるなら、そうではない。専門職として自分の技術や知識には誇りを持っているし、それは社会的に診療報酬という形で対価を支払われて当然の勤労を行っているという自信はある。
しかし、患者に対して献身的であるべきだ、とかその患者の心や人生にまで踏み込んで、その患者の幸福のために医師が尽くすべきだとは毛頭思っていない。
その辺は、このあたりで述べている。
http://d.hatena.ne.jp/kabalah/20041020#p1
http://d.hatena.ne.jp/kabalah/20041006#p4
2004年10月6日に書いた方の記事は、勤務医中の様々な本業とは思えない仕事で疲れ果てた過去の私がストレスで乱暴に書きなぐっている様子が見て取れ、大人げない文章だと自分でも思うが、当時はそういう心理状況だったので仕方がないし、今でもここに書いていることが間違っているとは思わない。
私自身が目指す医師像ではなく、日本の医療はどうあるべきか、ということになれば以下のような記事を書いたことがある。
http://d.hatena.ne.jp/kabalah/20060209#p3
http://d.hatena.ne.jp/kabalah/20060510#p2

もちろん、医療が扱うのは純粋に科学で扱える身体のみを診るべきで、心は無視してもよい、と言っているのではなく、心身の相関ということもあるし、精神領域のケアや治療を行う専門家が必要なことは言うまでもないし、人生に悩んだ方が相談できるような場所も必要ではあろう。けれど、人には領分というものがあり、私がそれら、心の問題を扱ったり、人生相談のようなことをするつもりはない、ということである。