悪の連鎖

またやってしまった。
この日、相変わらず富士山は見えない草原で、
意図的に子供に辛い思いをさせてしまったこと。
置いて行かれまい、と裸足で泣きながら後を追ってきていた子供の姿。
いつか、夏の博覧会会場で、さまよい歩いていた妹の姿とともに
私の記憶にとどまり続けることだろう。

自分と親しい、愛すべき家族に対して、
何かちょっとこちらの機嫌を損ねるような出来事をきっかけに、
自分でも相当な後悔とともに記憶から離れなくなるような
意地悪をしてしまうのはなぜだろう。

おそらく、自分が誰かに、求められている、必要とされているという
自信がないために、不安があるために
こうして自分を必要としていると確認させるような意地悪をしてしまうのだろう。

結果としてそれが悪の連鎖を生むことになる。