諸般の事情により。

透析室の廃止に当たり、私に責任があるわけでは全く無いのだが、当院の維持透析患者への、透析室廃止の告知と謝罪のようなことを私が一人でやってきた。
もちろん通いなれた病院を追い出されることは、患者さんにとっては負担であり、つらいことだろう。
いろいろと言われた。
「退職ですか。退職できていいですなあ。患者も病気を退職したいですわ」
「儲かる検査の建物を建てているくせに、儲からない透析室は廃止ですか」
そういう気持ちも分かる。しかし私が責められてもどうしようもない。
私が辞めるということは2年前から病院側に通達してあり、それでも透析のできる後継者を雇わなかった、病院の運営者の責任だ。
28人分の恨みつらみを聞きながら、それでも彼らの次の通院先を一緒に探していかなければならない。
最後の一仕事だ。