death note

以前、といっても既に一年近く前になるか、ここのブログにコメントで勧めていただいた、「DEATH NOTE」をようやく読んだ。
読むのなら最初から12巻まで全部一気に買って読もうというのははじめから決めていた。しかし読んでから思うにそんなに何遍も読んで楽しむような話でもないから、5000円も使わずに漫画喫茶で読めばよかったという気もする。
この前当直中に映画版を見たが、筋はかなり異なっていて、コミックの方だと、無理な設定があまり無く、死神という要素もしっくり筋に入り込んでいる。エルとキラの頭脳戦は面白く、どちらのキャラにも応援したくなるような、そういう要素を持たせることにうまく成功している。
ラストはやはりそうなるしかないという終わり方ではある。絶対的な正義などというものは存在せず、誰もが自分の心の中の正義に従うしかない。社会の秩序の維持は法が行う。当たり前の結論だ。
映画版の2が撮影されており、コミック版とは違うフィナーレが準備されているとのことだが、それでもキラの勝利はありえない。せいぜいエルと相打ち、という結末になるくらいだろう。
なぜキラの勝利はありえないか。これは、このコミックが一般に向けて公表されている時点で、このストーリーは一般道徳におけるリアリティを持ち、一般に支持されなければならないからだ。どんなに有能で、バランス良い正義感を持ち、慎重さを併せ持った人間だとしても、一個人が全世界の人間を裁くことで導く犯罪の無い世界という理想に、誰も道徳的なリアリティーを感じることはできないからだ。
これついて、うまく表現できていない、という自信がある。別項で補足してみたい。2章↓へ。

筋とは関係なく、キャラクターの評価をすると、エル、というキャラは面白いキャラだった。天才でありながら陰があり、人との交流を求めているようないないような、オタクでありながら性善説に立つかのような、その陰陽併せ持つ正義側の中心人物としてうまいキャラ設定が為されていた。
女性キャラは一般的男性読者への読者サービスという意味で、魅力的に描かれてはいるが、結局男性に従属、もしくは利用されるキャラとしてしか描かれておらず、もう少しファムファタル的な要素を出すとか、キラエルともに脅かすような存在として現れるとか工夫が欲しかった。