嵐が丘

モーツァルトは秋の空。
イギリスのコッツウォルズ地方を車で走っていたとき、当時の交際相手がそう言っていた。
すべては遠い過去のことだが、モーツァルトのピアノ協奏曲を聴くと今でも、それを思い出す。軽やかに転がっていくトリルの透明感は、確かに秋の空だ。
イギリスの地形はなだらかな丘陵が延々と続き、丘陵を覆うのは木々ではなく、藪というか草原であった。山岳が長い年月で風化してこのような地形となったのだろうと考えられ、落日の国、イギリスらしい景観であった。
激しい夕立のような雨がたたきつけたかと思えば、狐の嫁入りのようになり、虹がかかったりする。E.ブロンテの「嵐が丘」とはこういう気候の下に展開された話なのか、と思ったりした。
しかし明日からは台風が来るらしい。