透析長期管理

維持透析中の観察すべき項目として何があるかという問題。
悪性腫瘍の発生頻度が高いとか、心血管系合併症が多いとかいろいろ言い出すときりが無いのだけれども、定期検査で注目していくべき系統は、4つにまとめられると考えている。
1.透析効率:double-pool Kt/V値により管理。目標値は1.20~1.45。効率が悪ければ、当然ダイアライザーの変更、透析時間、血流量の変更、さらに穿刺部位の変更などを考慮しなければならない。
2.Dry weight:CTR、血圧から判断するが、心筋症や弁膜症があり、CTRがDWの指標となら無い場合は、エコーにて中心静脈径の測定と呼吸性変動の有無を見る。これによりイッスイか脱水かを判断し、DWを設定する。
3.腎性貧血:目標Hb値は11.0g/dl。Htは30~40%の間で。現在はHb値を貧血の主な指標とするのが標準的である。鉄剤の投与は、エリスロポエチン剤への反応が悪く、フェリチン<200ng/ml TSAT(s-Fe/TIBC)<30%を満たす場合に開始する。定期的な便潜血検査にて消化管出血の有無も検索しなければならない。
4.Ca-P代謝:CaxP積<70を目標とし、特にP>8.0にてP吸着剤の投与開始、増量を検討する。半年に1回はintactPTHを測定し、2°HPT(2次性副甲状腺機能亢進症)を評価する。iPTH>300pg/mlを治療対象と考え、活性型VitD製剤を投与、増量する。
ほかに、nPCRによる栄養状態の評価およびそれによる至適Kt/Vの変更、DM患者ではHbA1cによる評価、β2ミクログロブリン値測定によるアミロイドーシスの予防、Xpによる骨量測定など、定期的に行うべき検査はいくつかあるものの、基本は上記の4系統でよいと判断する。
これらについて、透析検査包括化の点数制限の範囲内で、必要最小限度の検査項目と頻度を考え、施行、評価していくべきと考える。