さて振り返ってみるに

そういう自分自身の実人生とネトゲとの折り合いのつけ方はどうなっているか。それを少しまとめてみよう。
現在私は、30台の前半であり、専門職に従事し、週に5日から6日、一日10時間程度働いている。月収は50万前後であり、年収は1000万に満たない程度である。家族として妻と娘がおり、帰宅後の2-3時間、週末の1日は家族と過ごすために使っている。
そして、ゲームとしてはオンラインゲームFFXIを4年前からやっており、ゲーム内では、HNMLSという珍しい敵を狩り、価値の高いアイテムを手に入れるという目的で集まった仲間たちを率いるリーダーをしている。4年間でゲームにログインした総累積時間は400日程度、計算すれば、一日当たり6時間から8時間はゲームをしていたことになるが、ゲームにつないだまま、本人は他の活動をしていることが多く、実際は一日当たり4-5時間程度遊んできた、ということになると思う。
この時間を、自分の職業的知識を高めるための、論文検索や、当直バイトなどに充てていれば、もちろん、自分の職業的能力は高まったであろう。
またこの時間を、自分のほかの趣味である、クラシックギター、油絵、筋トレなどに費やせば、それぞれでそれなりの成果を得ることができていたであろう。
またこの時間を家族と過ごし、家族との関係を深め、家事を手伝い、より快適な生活環境が得られるようにするために費やせば、また違った家族関係がありえたかもしれない。
そういうことはすべて考えた上で、私は、それでも自分はこうでしかあり得なかった、と言える。オンラインゲームに費やした時間を現実逃避といわれようと、他人がなんと評価しようと、この1日4-5時間のオンラインゲームで得られていた、私の救済、幻想の世界にはまることで得られた快楽、こういうものなくして、私はここまでこれなかった。
ところがFFXIから得られる楽しみが、現在、減ってきている。原因は簡単に言ってしまえば、飽きてきたのだ。新たなジョブをやってみたいという意欲も、新しい強敵に挑む方法を仲間たちと協力して編み出す、という意欲も、珍しく、価値の高い装備品を手に入れて、より強いキャラクターに育てたいという意欲も、もう、現在の枠組みの中では持ち得ない。自分がリーダーとして率いている仲間たちがいるから、彼らのために、少なくとも私がいなくてもLSが発展し、結束していけるようなところまでは、ルールを考え、新規メンバーを勧誘し、結束を強めて、盛り上げていかねばならないと言う、まあ、もちろん自分がこのFFXIの世界に影響を残したいからこそしていることではあるが、半ば義務的な気持ちで、FFXIに接続しているというような状態だ。
新たなMMORPGを探すべき時期に来ているかもしれない。けれど、新しいゲームをやるには、スペックの問題があるので、PCを買い換える必要が出てきそうだ。