星の銀貨4

最終話。明日の日付で全文をアップしておこうと思う。

4.あの世での少女たちの会話
最後の少女が、ほかの二人にこう言いました。
「あなたたち、もし星が降ってこなかったら、自分の人生を肯定できなかったでしょうね。人生を恨んだでしょうね。私はちがうわ。星の銀貨なんかなくたって、この人生それ自体を受け入れ、肯定することができるわ。あなたたちなんて、星の銀貨っていう、人生そのもの中にない、虚無によって救われているんだもの。気持ち悪い。幽霊みたい。」
最初の少女がそれに反論して言いました。
「あなたも、あの子と同じ。星の銀貨のことがちっともわかっていない。星はね、気の毒な人たちにパンやシャツやスカートを差し出したら、そのとき、私の心の中で降っていたのよ。あとから降ってきたんじゃない……」
最後の少女がその反論に応えて言いました。
「そんなこと、知ってるわよ。あの子だって、その見えない銀貨が欲しかったのよ。あの子もあなたも、やっぱり本当に欲しいのは銀貨なんでしょ?わたしはそれが嫌なの。わたしはね、その銀貨がどんなものだとしても、そういうものだけは欲しくないのよ。わたし、そういうものを欲しがる人が、いちばん汚い人だと思うわ。あなたたちって、不潔よ。」
すると、今まで黙っていた二番目の少女が口を開きました。
「わたしは始めから、ただ銀貨が欲しかっただけ。この世でも、あの世でも、それがほんとうに使える銀貨なら、どんな種類の銀貨だって、わたしはかまわない。あなたたちってなんか変。どこか似ている……」
最初の少女と最後の少女は顔を見合わせ、最初の少女はその少女を気の毒に思い、最後の少女はその少女から眼をそむけました。

以上で完結。まとめてみると、4話で、起承転結という言葉どおりの構成をしている話だな、と感心する。この文章からわたしが考えることは明日の日付のところに書いておこうと思う。