星の銀貨3

つづき

3.最後のお話
またある別のところに、また別の少女が住んでいました。その少女は最初の少女のことも二番目の少女のことも聞いて知っていて、なんだか嫌な子たちだな、と思っていました。
そのうち、お父さんもお母さんも早く亡くなり、なんとまえの二人の少女たちと同じ境遇になってしまいました。でも少女は「私はあの子たちとはちがう。星の銀貨なんかいらない。」と決心して、原っぱに出て行きました。
少女は、腹ぺこの男に会っても、スカートのない女の子に会っても、シャツのない男の子に会っても、同情せずに、その都度、こう言いました。「わたしも私の苦しみに自分で耐えるから、あなたもあなたの苦しみに自分で耐えてね。わたし、あなたに会わなかったことにするわ。だから、あなたもわたしに会わなかったことにしてね。」少女は、みんなが自分の運命を受け入れることを望み、自分も自分の運命をそのまま受け入れたのです。
少女が寒さにこごえながら、うずくまっていても、星たちは空高く輝いていました。「これでいいわ。これがわたしの人生なんだもの。何度でもこういう人生をおくりたい……」とつぶやいて、少女は死んでいきました。夜空の星たちは、遠くから、その少女を照らしつづけていました。

あと1話で完結。ここで提示されているのは、人生における、自分の幻想をどこに求めるかという類型といえる。自分がどの少女の立場に近いのか。それを思いながら読むといいと思う。
いまこうして入力していて、この3番目の少女が「原っぱに出て行く」必然性が分からないのと、「会わなかった事にする」意味は分からないのと、「夜空の星たちが少女を照らしつづける」必要もない気がする。この辺は永井均氏の蛇足だよなあ、と思う。