星の銀貨

今回から永井均ルサンチマンの哲学」からの引用を開始する。
本文ではなく、プロローグとして入れてある即席童話がとても示唆的なので、私はこの文章をどこかにアップしたいと常々思っていたのだ。

「星の銀貨の主題による3つの変奏」
1.最初のお話
むかしむかし、あるところに、ひとりの少女が住んでいました。お父さんもお母さんも死んでしまって、食べ物も住む家もなくなり、シャツとスカートとひときれのパンだけが、少女に残されました。
少女がパンを持って原っぱをとぼとぼと歩いていくと、貧しい男がやってきました。その男は少女に「手に持っているパンを私におくれ。おなかがぺこぺこなんだ。」と言いました。かわいそうに思った少女は、その男にパンをあげました。
少女がまたとぼとぼ歩いていくと、はくスカートのない女の子が少女のはいているスカートを欲しがりました。かわいそうに思った少女は、はいていたスカートをその女の子にあげました。
夜になり、少女が森にさしかかると、そこに着るシャツのない男の子がいて、言いました。「着ているシャツをぼくに下さい。寒くて死にそうなんです。」少女は少し迷いましたが、その子があまり寒そうなので、着ていたシャツを脱いで、男の子にあげました。
少女が寒さにこごえながらうずくまっているとどうしたことでしょう、空からたくさんの星が降ってきて、それがぜんぶ、ぴかぴかの銀貨になったのです。そして気がつくと、少女はぴかぴかに輝く新品のシャツとスカートを身につけていました。

ほんとは小出しにする意味はない。ぜんぶ通して読んで意味が出てくる話なので、最終的には全部まとめて掲載するつもりであるけれど、入力に時間がかかるので、今回はこれだけで。つまり4日後にコピーペーストを繰り返した結果、全文が掲載できる予定。

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