ONE PIECE論

月曜はジャンプ、スピリッツ。水曜はマガジン、サンデー、スペリオールなど。コンビニで立ち読みしている。いい歳して立ち読みというのもアレだが、各雑誌で読んでるタイトルが1つとかだと、買う気にはなれない。
以下ワンピースネタばれ。単行本を楽しみにしてる人は読まないで下さい。
ワンピースは敵の立場と姿がはっきりしてきた。ウソップも抜け、ロビンの裏切りもあり、その裏切りの先は世界政府の組織CP9というところであった。一時期敵であったフランキーというのが今後味方というか、助ける相手となるような展開。現在はCP9の戦闘力に見る影もないルフィたちだが、また仲間のため、敵を倒していくのだろう。ただ、今回の展開は、一地方の悪党を倒すといういつものパターンではなく、世界政府を敵に回す方向にあるので、少し大掛かりな話になるかもしれない。
ワンピースの主人公たちは海賊である。海賊というのは超法規的な立場というか、むしろ一般的に悪とされる立場の存在である。それが子供向け漫画の主人公としてやっていくには、法を超えた正義とか、倫理を彼らが体現していなければならない。彼らが体現しているのはいったいなんだろう。
彼らが大事にするには自分たちの仲間。そして一般に対しては、善意に基づいた人の夢。それを守ろうとする、あるいはその実現を手伝おうとする。
現代世界には60億を超える人類がおり、あらゆる人への平等な愛など不可能な時代。自分の身内にしか、愛(というのが不適切なら、人間対人間の関係を維持するためのエネルギー)を振り向けることはできない。道端で人が倒れていても、それは人ではなく、風景の一部にしか過ぎない。テレビの中の出来事と同じこと。まあ、日本でも特に都会での話ではあるが、我々の人間関係はそんな風になってしまった。
そういう時代にあって、ルフィたちは「仲間」を大事にする。赤の他人同士で、むしろ社会からつまはじきにされたようなものたちの集まりである。けれども彼らは同じ一つの船で、一つの目的に向かって旅を続けている。そして仲間のためなら命も惜しまず、戦う。
現代の社会に失われている、赤の他人同士が、そういう「仲間」となること。あるいは新興宗教の中では実現されているのかもしれないが、現代人に失われた、そういうお互いを自分の命よりも大事にするような人間関係と、その下でこそそのような関係が築けるところである大きな目標(彼らにとってはONE PIECE「ひとつながりの財宝」がそれにあたる)。そういうものに憧れるからこそ、この漫画は子どもだけでなく、大人が読んでも楽しいのだろうと思う。