会話に関する性差

先日、創傷治癒に関して参照した開業医の方の個人サイトに、以前から私も感じていた「会話に関する性差」についての記述があり、明瞭にまとめてあるので引用させていただく。

さて、突然ですが男性の方に問題です。
 食後にお茶を飲んでいると妻(彼女)が、「最近お隣さん、ゴミ日以外にゴミを出すのよねぇ」と話しかけてきました。あなたはどう答えるべきでしょう?考えてみて下さい。
         ( 考え中 ・・・ )
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 ほとんどの男性が「俺が注意してきてやろうか?」「ゴミ日を大きく書いた張り紙をしたら?」「自治会に相談してみれば?」などの『解決策』を提案したのではないでしょうか?
 ブブー。大間違いです。男性は基本的に解決志向を持つので、このような過ちを犯してしまうのです。正解は「ふーん」「へえぇ」や、せいぜい「ありゃまマナー悪いねぇ」まで。つまり『共感』『感心』や『同意』です。
 多くの場合、女性は「話を聞いてもらう」こと自体が目的で、それ以上は求めていません。お隣と事を荒立ててしまうかも知れない面倒な『解決策』など、口うるさい指導や説教にしか聞こえません。
 「あの美容院、急に値上げして全く困りもんだわ」や「上司が口うるさい上にセクハラしてくるのっ」の場合も同様です。「だったら・・・」や「じゃあこうしたら・・・」「君にも問題が・・・」などの解決策・アドバイスは、せっかく提案しても煙たがられるだけです。正解は、「そりゃ困ったもんだねぇ」や「ありゃま大変だねぇ」です。騙されたと思って試してみて下さい。
 ただし、稀にですが、語尾に「どうしよう」や「なんとかならないかなぁ」などが付くことがあります。敏感に察知して下さい。本当に困っているようです。ようやく、男らしさの見せ所ですので。

http://www.araya.dr-clinic.jp/woundtreattrial.page.htmlよりの引用です。
男性は、女性は、というような括り方よりも個人差の方が大きいのは確かなので、性差だけで個人の傾向を決めつけるのは確かに暴論ではあろうが、私が自分の経験で、女性と話すとき、男性と話すときを比べてみると明らかにこういう傾向を感じる。
男性との会話では、お互いの立場の違いと目的を明確にし、お互いの目的への到達、妥協案、折衷案を検討して、何らかの「結論」を出そうとする。それが、その会話の「成果」であり、成果を出せない会話なら、会話が行われた時間は無駄であった、ということになる。
ところが女性との会話では、私は納得がいかないのだが、会話が成立したというその事実のみがお互いの関係にとって重要で、「結論」「成果」というようなものは不要らしい。ただ、それならうわの空で聞いておいてもいいのか、というとそうではなく、その時の会話がちゃんとこちらの記憶に入っているかどうか、親身になって聞けているかどうかは重要で、女性の話し手はその点を敏感に察知するようだ。
性別によらず、会話をする以上、話題を会話の相手との共有の問題として考えているわけで、そのことで何らかの影響を会話相手に与え、また自分も相手のその問題に関する考えから何らかの影響を受ける。そのようにお互いに影響を及ぼすことを目的として会話は行われているはず。ただ、話題になっている内容自体から何らかの結論を出し、それによってお互いの生活に影響を与えようとするのが男性の傾向で、話題ではなく会話が成立した事実や問題の共有ということを通して徐々に問題に迫り、問題自体よりも会話をしている二人の関係性に影響を与えようとするのが女性の傾向であるようだ。