グエムル

前から見たかった韓国映画の「グエムル」を妻がDVDで借りてきてくれたので見ることができた。
少し、韓国映画全般に対する私の感想を。
私は韓国映画や中国映画が嫌いである。一回見出すと面白いのは確かだが、その過剰な感情表現にいつも辟易とする。大陸では腹の探りあいなどしている暇は無いから、手っ取り早く感情を伝える必要性が生じ、あんな感情表現をオーバーに行う国民性が生まれた、と還元できるだろうか。日本人の喜怒哀楽を標準とするのはいささか隠微に過ぎるのかもしれないが、それにしても実生活ではあそこまで喜怒哀楽が生じうるような濃密な時間ばかりが流れているわけではないだろう。


まあ、それはそれとしてグエムル、であるが。
これは面白かった。何が面白いといって、やはり敵役のMobがあまりにリアルに作られているから面白いのだ。日常生活の中に、これはありえねえ、って感じの化物が、すさまじくリアルに存在させられている。異質なものをここまでリアルに存在感を持たせ、疑うことを許さず観客に受け入れさせるその力強いSFXの作りこみは、見事というほか無い。
そしてあれだけの化物相手に、国や警察や米国などからすべて見離され、孤立無援の一家族が、独力で、ぼろぼろになりながらも怪物を倒すというその苦難の過程と、実存性が見るものの心を打つ。
入院して麻酔とか鎮静剤とか打たれまくったはずのお父さん、どうしてそこまで走れるのとか、突っ込みどころはいろいろあるけれど、とにかくあのグエムル、あのコイとトカゲがドッキングしたようなあの化物の作り込みがすごかった。それに尽きる。

休日を楽しむ河川敷の人々が、跳梁跋扈する怪物によって阿鼻叫喚の状態に叩き込まれる様は、圧巻というほか無い。久々に映画を楽しんだ。