basic instinct

「あなたは畜生のような人だ。」
「その通りだと思います。」
「いや、あなたは畜生以下だ。動物ならまだ自然の摂理に従い、過不足なく生きていき、死んでいく。あなたは過剰な自意識と、足ることを知らない欲望とで畜生以下の存在に成り果てている。」
「それは誤解だと思います。私にも人並みの自己意識というようなものはありますが、恐らくそれはあなたにもあるものとほとんど同じものですし、さらに言えば、そんなものがあったところで我々は自然の摂理を超えたり、そこから堕落したりはできていないのです。そう感じるとしたらそれこそ過剰な自意識というものでしょう。」
「畜生としてなら安心して生きていけますね。」
「畜生以外の在り方なんてないんですよ。」
「そうならあまり安心もできませんね。」
「求めるところが多すぎるのではありませんか。まったく畜生のような人ですね。」