(1-8)永井均氏著作からの引用です。

あまり書くことが無い日は、永井均著「子どものための哲学対話」から引用をして、さらにそれについて思うことなど書いてみることにします。著作権の問題とかよく分からないのですが、問題あるようなら削除します。
このような引用をする理由は、私の関心あるような事柄について、私がおおむね賛同するような形で、うまく簡潔に表現されているから、です。

8.困っている人を助けてはいけない?
ぼく:困っている人や苦しんでいる人がいたら、やっぱり助けてあげなくちゃいけないよね?助けてあげるべきだよね?
ペネトレ:いや。困っている人や苦しんでいる人を、やたらに助けちゃいけないよ。そのときかぎりの単純なこまりかたの場合ならいいよ。たとえばけがをしたとか、さいふを落としたとかね。でも、もっと深くて重い苦しみを味わっている人を助けるには、君自身がその人の苦しみとおなじだけ深く重くならなくちゃならないんだ。そんなことはめったやたらにできることじゃないし、できたとしたら、きみの精神に破壊的な影響を与えることになるんだ。もし、きみ自身が深くて重い苦しみを味わったことがあるなら、それとおなじ種類の苦しみを味わっている人だけ、きみは救うことができる可能性がある。そういう場合だけ、相手が助けてもらったことに気がつかないような助け方ができるからね。
ぼく:なんだかむずかしいはなしだな。
ペネトレ:そんなにむずかしいはなしじゃないんだけど、、、。じゃあこれだけ覚えといてくれよ。自分が深くて重くなったような気分を味わうために、苦しんでいる人を利用してはいけないってこと、、、。

これを引用したのはよく拝見させていただいているブログの方が、地震とか災害、疾病についての報道について記載しておられ、少しだけ関係するかなと思ったからです。
私自身、患者さんや、自分の周りの人間で苦しんでいる人がいた場合、その苦しみの軽減のために、自分ができることは何か考えますが、いつも自分にできることはほとんどないと思います。自分で立ち直ってもらうためのきっかけを探す時間を作るとか、気を紛らわす相手になるとか、そんなことしかできない。そういって自分のできることを狭めて、せっかくできる手助けもしないでいる、との指摘を同僚から受けたこともありますが、それでも私は、出すぎたことはできない。上の引用にあるような態度で、困っている人には接していくことになるのだと思います。